学生の研究活動

研究報告・体験談 2020年度

田中広太郎

(生物圏情報学講座 資源生物情報学分野: 博士後期課程3回生)

私はジュゴンという生き物の研究をしています。「情報学研究科でジュゴン?」「そもそもジュゴンとは何者?」と思われた方も多いのではないでしょうか。ジュゴンは浅い海にすむ哺乳類です。絶滅危惧種であるジュゴンの生態を調べるため、私は水中の「音」を使って彼らの鳴き声を観察するとともに、付近を通る船のモニタリングも行っています。

データを集めるため、タイやマレーシア、スーダンなど様々な国に滞在してフィールド調査を実施します。各国の研究者の方々と協力しながら調査を進めること、そして現地に暮らす人々と交流を深めることは、私にとって「結果を出してまたここに戻ってきたい」という大きなモチベーションになっています。博士後期課程の1年目にはスペイン・バルセロナに留学し、自分が専門とする生物音響学に特化した研究機関で自分の技術を磨くことができました。私に限らず生物圏情報学講座を構成する先生方・学生たちは、日本中・世界中を飛び回って研究を行っています。そのような環境で議論を重ねることは非常に刺激的であるといえます。

情報学研究科の中にありながら主に生物の研究を行う生物圏情報学講座は、少し異質に映るかもしれません。しかし、私はこのように多様性を許容することこそが社会情報学専攻の良さだと考えています。情報は人が暮らすところで生まれる、と言われています。人の暮らしには数限りない要因が複雑に関わりあっていること、そして暮らし方は時代によって変わっていくことを考えると、幅広い教育・研究を進める社会情報学専攻が存在する意義は非常に大きいと言えます。自分がやりたい研究はこの専攻にフィットするのだろうかと悩む前に、その扉を叩いてみたらよいのではないでしょうか。

研究報告・体験談 2015年度

梅本 和俊

(社会情報モデル講座 情報図書館学分野: 博士後期課程3回生)

私は情報検索とよばれる分野の研究に従事しています.情報検索というと,Webページのランキングアルゴリズムや関連する検索キーワードの推薦といったシステム的な側面がイメージされやすいかもしれません.私の場合はむしろ,検索を行うユーザの方に興味があり,検索行動からユーザの意図を推定・理解するという研究課題に取り組んでいます.

私が所属する田中研究室には,田中先生をはじめ,研究に熱意のある先生方が多くいらっしゃいます.定期的に開催される研究会で発表を行った際には,建設的なコメントや貴重なアドバイス,そして時には厳しい指摘など,さまざまなフィードバックを先生方から得ることができます.どちらかといえば思い込みの強い方だった私ですが,こうした経験の積み重ねによって最近では,物事を広い視野から柔軟に考える能力が身に付いてきたと実感しています.そのため,田中研究室に入って本当に良かったと思います.

時には,研究室の枠をこえて,国内外の企業や研究所と共同で研究を行うこともあります.実際に私は,2014年6月から約半年間にわたって,中国のマイクロソフトリサーチアジア(MSRA)で研究をしていました.MSRAはマイクロソフトが設立した研究機関の1つであり,計算機科学の諸分野において最先端の研究が行われています.情報検索の分野でも,毎年多くの研究がMSRAの研究者によって発表されています.半年間という限られた期間の中で,著名な研究者の方々と共に研究に打ち込み論文にまとめたことは,貴重な体験になりました.MSRAにインターンとして来ていた各国の学生と公私ともに交流できたことも,大変刺激的でした.

私にとって,研究は常に上手くいくものではなく,むしろ失敗の連続です.論文が不採録になり落ち込むこともあります.ただ,良いアイデアが思い浮かんだ時や,興味深い結果が得られた時,論文が採録された時などは,それに勝る興奮や感動を得ることができます.また,関連文献の調査や他者との交流・議論を通じて知識の幅と深さを拡大し,試行錯誤を重ねることで自らの興味の対象を納得いくまで追求できるというのは,研究者の特権だと思います.これからも,自身の専門領域に限らず広い視野を持ち続け,世の中の役に立つ面白い研究にひたむきに取り組みたいと思います.

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