地域・防災情報システム学講座

災害は急激でしかも大規模な環境変化です。それまで地域社会が保ってきた自然環境、人工環境、社会環境の間のバランスも災害によって変化を強いられます。災害の衝撃が大きければ、地域社会は災害前のバランスに復旧できずに、新しいバランスを求める必要にせまられます。災害による急激な環境変化が、人々の生活や地域社会にどれほど大きな影響を与えるかは、阪神・淡路大震災による甚大な被害とその後の被災地の苦しみに如実に示されています。 災害による影響をできる限り小さくすることが防災の目的です。地震や風水害といった自然の脅威そのものを人間の力でなくすことは、残念ながらできません。そこで、防災の努力は、 (1)自然の脅威を予知・予測する能力を高めること、(2)被害の発生をくいとめる能力を高めること、(3)被害が発生しても、その影響を極小化する能力を高めることが、社会の防災力を強化することになります。 災害は、人類の持続的な発展にとって最大の障害となっています。国際赤十字社のまとめによれば、毎年災害によって13万人の人命と4、400億米ドルの被害が出ています。人口の増加とともに急速な都市化が進み、人間社会は複雑・多様化しつつあります。それにつれて災害も巨大化し、頻発しています。いいかえれば、災害に対する社会の防災力は急速に低下しています。 防災の中核に関する情報処理過程があります。本講座ではとくに都市災害に重点を置きながら、災害の影響を極小化し、かつ長期化させないための「都市減災」を目的とした情報システムの確立をめざします。

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